【アンケート結果】長野市長候補予定者に聞いた市民活動に関する考え

NPO法人長野県NPOセンターとながの協働ねっとは、10月31日投票の長野市長選挙を前に、9月21日の時点で立候補の意向を表明している3名に市民活動に関するアンケートを行いました。

ここでは一部抜粋した箇所があります。回答の全文は長野県NPOセンターのホームページ(https://www.npo-nagano.org/2021/10/01/2120/)に掲載しています。

<質問1>

 ご自身は市民活動やボランティア活動などに参画・参加されていますでしょうか。ご参加されている活動の経験などを踏まえて、市民活動・ボランティアの価値と役割などに関するお考えがありましたらお教えください。

荻原健司:こども食堂やフードバンクボランティア、東日本台風災害関連の写真洗浄ボランティア。自由で自主的な参加による社会貢献活動団体が様々な分野で活躍されていることに敬意を表します。単に行政に頼ることなく、市民自らの力で社会課題に対応しようとする組織が益々活躍し、支え合いの文化が広がることを期待します。

野々村博美:今から40年以上前、学生時代に障がい者の皆さんの運動に参加したことがボランティア経験の最初でした。一昨年の台風19号災害の時は共産党として被災地にボランティアセンターを立ち上げ、全国からの支援者を受け入れて、家の片付け、泥だし、物資の支援など個々の要求をお聞きしながら支援者を配置するコーディネーター的な役割を担っていました。最初からそのような段取りで進められたわけではなく、目の前に起きた突然の災害に遭遇してやるべき仕事をしていたら、結果的にその役割を担っていたというのが本当のところです。多くの人たちが茫然自失となっていた時、泥だらけになりながら親戚でも友人でもないボランティアの皆さんが泥にまみれて作業する姿は、被災者の皆さんに大きな希望を届けたのではないでしょうか。

 困っている人が目の前にいれば自分でできることで応援しようと思うのはごく自然の気持ちと思います。一人一人の小さな心がけが集まってくると大きな力になります。またたった一人の行動であっても、それが波紋のように広がっていくこともボランティアならではと思います。私利私欲でなく行動することに価値があるのでしょうか。見返りを求めるのではなく、自らが成長していくことができるのがボランティアなのかもしれません。

 市民活動は反貧困活動に取り組む団体を立ち上げて参加してきました。これもリーマンショックの時、ホームレスに陥った人たちの相談活動を通して、もっと大きな支援組織がないととても対応できないと思い、医療生協や市民団体の方に声をかけて反貧困ネット長野を立ち上げ、活動に加わりました。様々な困難に直面している方々の支援をしながら多くのことを学び、経験しました。失敗したこともあります。民間だけでは当然解決できません。全国的に広がった反貧困の活動はマイサポなど新たな行政の組織にもつながったと思います。民間、行政、企業など様々な団体と良好な関係を作っていくことも大切なボランティア団体の役割と思います。

土屋龍一郎:私はこれまで、長野国際友好協会理事長をはじめ、地元区の活動や一昨年の台風災害の復旧ボランティアなどへ積極的に参加してまいりました。1998年の長野オリンピックを契機に、本市を含め全国的にボランティアへの関心が高まり、たくさんの方々が活動に参加するようになりました。米国では自治体の仕事を市民活動やボランティアが積極的に受けるなど、その役割や自治体との協働は盛んに行われており、日本においても、さまざまなフィールドでこの傾向はますます強くなってくるものと感じております。

 今後、市民活動やボランティアに関わる方が増えることによって、社会との関りがより強くなり、行動による環境改善や、積極的な姿勢が生み出す経済の活性化など、まちが好循環することにより、未来の生き甲斐を感じられる安心したまちづくりにつながると考えております。

<質問2>

長野市内ではNPO法人や住民自治協議会など、さまざまな市民活動団体や民間企業を含む各種団体が活動しています。よりよい市・地域づくりのため、こうした各種団体に期待することと、市とのあるべき関係性、より多くの市民に自主的な参加を促す策や、市としての支援策などのお考えがありましたらお教えください。

荻原健司:様々な団体や企業を横につなぐ、調整する役割として行政の出番があると考えています。また、それぞれの活動を広く紹介するなど、行政の持つ強みで相乗効果を生み出すことができると考えます。

野々村博美:今もっぱら自助・共助が求められています。しかし大切なのは公助と考えます。公助があっての自助・共助なのです。これは財政的に全てを負担すべきという考えではありません。行政が一つ一つの課題解決のために、NPO法人や住自協、市民活動団体、民間企業とどのようにそのネットワークを構築するのか、責任を持って作り上げなくてはいけないと思います。

 地方自治体の最大の役割はセイフティネットの構築と考えます。その責任を果たすという立場に立って、それぞれの役割分担を明らかにして、支援策を考える必要があります。

 また気候危機に対してもしっかりとしたネットワークが必要になります。若い人たちの参加も大切にしたい分野です。この問題は新たな産業の育成や雇用の創出にもつながり、気候危機という非常に切羽詰まった課題ですが、新たな可能性を生み出す意気込みが必要かと思います。そのためにも行政の強いリーダーシップが求められます。

 すでに市内の中山間地では地域循環型経済を実現するために再生エネルギーに取り組んでいるNPOも生まれています。このような取り組みを応援して全市に広げていくことが行政の役割と思います。

 今、企業経営も利他主義が重視されてきました。とても良い流れと思います。地域のために企業がその特性に応じて貢献するという風潮を発展させたいです。今までの長野市は市政が企業の利益のために貢献するという姿勢だったと思います。その転換が必要です。

土屋龍一郎:私は日本青年会議所の会頭を経験し、本市はもとより日本全国で多くの団体が、さまざまな活動をされていることは存じ上げております。常々、これらの団体の皆様のさまざまな活動によって、よりよい地域が作り上げられていると感じております。今後、このような活動に対するニーズはまだまだ高まるものと感じておりますので、市としても各種団体の皆さんと、より多くの接点を持ちながら、活動をどう支援していくのか、どう参加してもらうのかなど、それぞれの皆さんが行っている活動と同じように、市民の皆さんと話をしながら知恵を出していきたいと思います。行政・市民・企業が一丸となってパートナーシップを結び、「子育て支援」「経済の活性化」「危機管理」を中心に対策を行い、誰もが住みたい・住み続けたいと思うまちづくりをしていきたいと思います。

 また、市民活動団体の一つである、住民自治協議会は設置から10年が経過し、良い面ばなりでなく、さまざまな問題も分かってきていることから、これを機に再構築するべきだと考えています。

<質問3>

長野市はSDGs未来都市に指定されましたが、市の未来都市計画には目標1の貧困をなくそうや、目標5のジェンダー平等などが位置付けられていません。こうした点も含め改めてSDGsの全目標達成に向け、市民および各種団体といっしょに取り組みたいことと、市民とともに歩む未来への展望などのお考えがありましたらお教えください。

荻原健司:市民の協力なくして、市の発展、活性化は無いと考えています。激動の時代、変化の速い時代だからこそ、NPO等と行政との協働で社会課題を解決してゆくことが求められる時代に入っていると認識しています。社会をより良くするために、人々の善意を原動力とし、結果に結びつけることが未来を明るくすると考えます。

野々村博美:大切なご指摘です。SDGsの目標1は「貧困を無くそう」です。先ほども書きましたが地方自治体の最も大切な役割はセイフティネットの構築です。自助が押し付けられた社会保障の後退によって多くの人たちがSOSの声すら上げられず、悲劇が繰り返されています。あなたは一人じゃない、あなたはかけがえのない大切な社会の一員、そんなメッセージを常に発信できる長野市政にしていきたいと思います。

 そのためにも、貧困問題や人権問題に取り組む多くのボランティア団体、市民団体、教育機関、医療や福祉機関との連携が不可欠であり、情報を共有し、安心できる居場所の提供や相談機関の充実、食料をはじめ物資の支援体制の充実が必要です。専門家の配置とネットワークの構築が必要と考えます。

 長野市はこれから子どもの困窮実態の調査を行います。ネットワークの皆さんにもその調査に協力いただき、一緒に取り組み分析、検証する会議を設定し、支援策を考えることが必要と思います。

 また目標5は「ジェンダー平等」です。日本は世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数2021」で156ヵ国中120位でした。深刻なジェンダー不平等社会となっています。多くの女性たちが貧困に苦しみ、性差別や固定的な性別役割分担の押し付けで、職場や家庭で肉体的にも精神的にも強いストレスに晒されています。

 女性が多く働く保育や介護・福祉のケア労働は重要な専門分野であるにもかかわらず他職域に比べて待遇が悪い状況です。賃金格差を正し、ケアに手厚い社会の実現、正規雇用が当たり前の社会にしていくことが必要です。この分野では労働組合のみなさんの取り組みとも協同していく必要があります。最低賃金の引き上げ、労働時間短縮など働き方改革を断行していくことが、ジェンダーギャップを解消するためにも必要です。

 そして深刻なのは性犯罪です。被害者の保護、支援についても関係団体の皆さんと力を合わせます。そして行政としては乳幼児からの性教育に力を入れる必要があると思います。そのためにも助産師、保健師、保育士、教職員、産婦人科医などと連携し、性教育のあり方などを研修しながら歪んだ性知識によって苦しむことのないよう取り組みを強めたいと思います。

 これらに対処していくためにも女性の視点を全ての政策に取り組み、女性の管理職の登用を勧めます。各分野で活躍している女性たちの声も活かしながら、同時に声を上げることができずにいる多くの女性たちの思いに寄り添うことができるよう、様々な支援団体の皆さんの協力も得ながら、支援策を強化していきたいと思います。

 女性が生きやすい社会は男性にとっても、トランスジェンダーの皆さんにとっても生きやすい社会になると確信します。

土屋龍一郎:他市の計画では、これら位置づけられていないものも入っているところもありますので、SDGs少しでも多く達成するためには、市の「未来都市計画」は修正できないものではないと考えています。特に、私の政策の中にあります、子供の貧困は少しでも早く解決しなければならない問題の一つであると思っています。例えば子ども食堂など、すでに市民や各種団体が取り組まれている活動がありますので、これらの方々と意見交換会などを行い、解決に向けしっかりと取り組んでいきたいと思います。また、ジェンダー平等については、すでに長野市の請願決定された選択的夫婦別姓制度など、子育てしやすく住みたくなるまちづくりの一環として、積極的に取り組みたいと思います。SDGsゴールまであと8年、具体的なアクションを着実に推進したいと思います。

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