NPOステップアップ講座「NPOの資源を獲得する!」
- 目的:多様な背景をもつメンバーやボランティア、新たな参加者との継続的な関係をつくるために何をすべきかを考えることを目指した本講座。テーマ毎に問いがあり、個人やグループでワークに取り組み、共有。その後講師から講義という順で進み、理解を深めました。
- 講師:田辺大さん(社会起業家・NPOおじさん。
原点は1993年の北海道南西沖地震の災害ボランティア。
2003年からNPO業界で起業と事業再生の支援を専門とし、
現在飯田市で女性起業はじめソーシャルビジネスの支援に従事。) - 対象:NPO・住民自治協議会など
■第一回「団体の組織運営を学ぼう!」■
日 時:2023年7月23日(日)13:30~16:30
場 所:もんぜんぷら座304会議室 ※オンライン併用
参加者:NPO・住民自治協議会など10団体15人(うちオンライン1団体2人)
講義「団体内に目を向ける」
問.なぜ組織にするのか?
(会場)
- 一人ひとりの力は限界があり、考えも偏ってしまう。チームになることで、アイデアや体力、能力が倍増する。
- 社会の力を応援にしていくためには「組織であること」が大切なのではないか。
Point!
田辺講師から
NPOとは市民性を創出・増幅する装置のようなものである!なぜなら、NPOには寄付とボランティアという参加方法があり、それらの参加によって市民性を高めることができるから。「問い」を持ち続けることが大切であり、その可能性を広げることができます!
(会場)
- 思いに共感する。目指す先が同じ。
- メンバーの多様な視点や考え方を尊重する。
- 一方的にならない。共有することに時間をかけ急ぎすぎない。
Point!
田辺講師から
大事だと思って発案!しかし、反応がイマイチ…ということは多々あります。しかしその反応の中で「早い賛同者が誰なのか」を見極めること、その早い賛同者こそがポイントになりうる。その客観的な立ち位置からお墨付き効果を提供してもらうことができるから。
問.良いチームって?
(会場)
- 常に設立趣旨に戻ることができる。
- お互いのやりたいことに共感し、手を差し伸べられる。
Point!
田辺講師から
良いチームとは、良いコミュニケーションが生まれ、理念や価値観の共有ができていること、日々の心合わせによるメンバーの才能開花の機会づくりにつながっていること、自由をつくっていることなどが挙げられます。「事務力アップ」や「明朗会計」を心掛けましょう!
これらの問いを繰り返し、自分の中にある課題に目を向け深堀りしていきました。「忙しさから、今までそのままにしてきた疑問や課題の棚卸しができ、有意義な時間だった」「他の団体の意見が気づきにつながった」といった感想がありました。
外に目を向ける
自団体の活動を社会に見せていく、発信していくために、「社会へのラブレター」を考えました。自分たちが気づいた“問い”に対し、“追う夢”。どんなことをして社会に何を呼び掛けるのか、丁寧に(でも限られた時間で忙しく)言葉に落とし込み、共有しました。「団体に持ち帰り、団体の想いを明確にしたい。その時間こそが団体内に良いコミュニケーションをつくり、モチベーションアップにつながるのではないかと思う」と話す参加者も。目の前のことに追われ、なかなか思いや理想を言語化する機会がない中で、自分たちのあるべき像を考えることの大切さを田辺さんから学びました。そのあるべき像に移行していくには、どれだけ具体的に組織内で共有しているか、外に発信しているか、なのではないでしょうか。改めて、内部の想いの棚卸しの大切さを実感した時間になりました。
今回の参加者は、立ち上げたばかりで「これから活動の幅を広げていきたいしメンバーの意識合わせが必要」と考える団体や、「長く活動を続けているが運営メンバーの固定化」に悩む団体など、課題もざまざまでした。それぞれの団体がもつ考えや課題を互いに知ることも、大きな学びになったようです。
■第二回「活動資金の調達を学ぼう!」■
日 時:2023年10月1日(日)13:30~16:30
場 所:もんぜんぷら座304会議室 ※オンライン併用
参加者:NPO・住民自治協議会など9団体14人(うちオンライン1団体1人)
講義「自団体の特徴・目指す姿」
問.自分たちの財源と特徴・目指す姿は?
自分たちの財務諸表を見返し、改めて分析。その後自分たちの事業の特徴や目指す姿を考える。
(会場)
- 自主財源が多くを占める。自由があり、自分たちがやりたいことができる。半面、その財源がとても小さいので、活動規模が限られる。
- 自主財源である寄付を一生懸命集めているが、その継続に難あり。自主事業と受託事業のバランスをよくしたい。
Point!
田辺講師から
- まずは財源の把握が大事。なぜその構成比になっているのか、その構成比のメリットやデメリットを整理し、自団体の目指す姿を描こう!
- 団体運営の数字が苦手という方は日商簿記3級の勉強をおススメします!
- 行政からの事業を受託するには、「説明責任を果たせるのか」が必須。自団体と一緒にやる理由がどこにあるのか、きちんと考えてほしい。
問.自分たちの無形資産は?
(会場)
- メンバーがさまざまな背景をもっているので、その知見やつながりが多様なところ。
- 個人の想いこそが財産!
Point!
田辺講師から
- 団体の無形資産というのは、知識やメンバーのネットワークなど見えない宝物のことを言う。世界的、経済界からも注目を集めている。
- NPO運営はストック(器)とフロー(流れ)という見方で説明できる。器は資産で、流れはお金や体験であって、資産があるからお金や体験が生まれる。だが目先の利益を追って、助成金や補助金のニュースに飛びついても一過性であり、「自分たちの団体の見えない宝物(無形資産)って何?」という日々の資産形成の意識と行動が大切。
問.どんな資金調達方法があるのか?
補助金や融資、出資、寄付など、資金調達方法がある。それぞれによって熱量や特徴が違うことや申請書を書く上でのポイントも解説。
Point!
田辺講師から
- 賛同や資金提供をいただくためには、認知→共感→決定の順に打率を上げていくことを目指す。その鍵になるのは“共感”を伝えられるのか。不特定多数の人が見て伝わるように、徹底的に文面を見直し、磨こう!
- 申請文は介入と成果を区別して書くこと。成果に基づいて介入方法を考えること!
参加者の声
- あれだけの情報量をわかりやすく、かつ身近に感じる説明で大変有り難かった。
- 実践されてきた方の言葉なのでわかりやすく、実感もこもっていた。
- “資源はお金だけではなく、無形資産の体験には価値があるということがわかり、そういえばうちの団体は体験を提供してきたなと改めて思い、それを活かしていくことで応援してくれる人を増やす作戦をねりたい。
- “自分たちの強みを気づかせていただいた。参加してよかった。
- 実際に地域コミュニティーを運営している方の話を聞いてみたい。
- 同じ団体で話しができて、委員会をアピールさして賛同者を増やそう!と団結できた。
最後に
人とお金の2回に分けて団体の資源調達を学びました。肝になるのは、団体の目指す姿はどこなのか、財産である強みは何なのかを、団体内でしっかり考えていくことだと感じた参加者がほとんどでした。参加者の一人は、「日々実務に追われ、なかなか立ち返ることができませんが、今日問われたことを団体内で共有する機会を作っていきたい」と話しました。
▼最後は講師を交えて交流会。団体の悩みなど、みんなで話しました!